夕方、帰ってきたら、我が家の居間に巨人が侵攻しておりました。
薄闇に包まれた部屋の中、巨人と戦う人々の雄叫びが響き渡り、ソファーの上では、旦那様が弓を引き絞って石のように固まっているのです。
旦那様の前方から、槍を壊せと叫ぶ女性の声。
それに導かれて、彼は力強く腕を固め、的が定まるその時をただじっと待っているのでした。
余りに張り詰めた空気・・・!
私は居間の入り口に立ち尽くし、息を殺して彼の頬をつたう汗を見詰めておりました。
どれ程の時間が過ぎたのか・・・。
長い長い緊張の末、ついに一閃。
狙った巨人へ渾身の一撃を放った旦那様。
テレビ画面には、砕け散る巨人。
空気がほどけ、Wiiのコントローラー(さっきまで弓だった)をシュッシュッと前に突き出して、画面のキャラクターを前進させる旦那様。
ひと仕事を終えて曰く、
「あぁ、肩痛い」
・・・Wiiで、肩こり・筋肉痛の類はやめてくれぇ。
嫁は心の中で呟いて、静かに部屋の電気を点けたのでした。
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